完全無欠のAIを作ってみよう その1

    2020年6月28日に行われた棋聖戦第二局で、藤井聡太七段が指した58手目が話題を呼びました。AIを搭載した将棋ソフトが現役の名人を打ち負かした事件は、まだ記憶に新しいことだと思いますが、そうした将棋ソフトが競い合う「世界コンピュータ将棋オンライン大会」にて今年優勝を果たした「水匠」の作者、杉村達也さんが、藤井七段の先で述べた手について
    「『水匠』に6億手読ませると現れる最善手のようだ」
    といった内容のツイートをし、注目を浴びました。

    「AIを超えた!」

    藤井七段はこの手をわずか23分で導き出したとのことで、「AIを超えた!」と騒がれているようです。

    こうして人間と抜きつ抜かれつの攻防を繰り広げるAIですが、その開発の果てに思いを寄せてみたときに、「これ以上なく完成されたAIってどんなものなんだろう」ということをふと考えてみたくなっちゃいました。そこで、しばらくは、「完全無欠のAI」を定義し、それが社会でどのような役割を果たし、人類史にどのような影響を与えるのかまで、妄想していきたいと思います。

    Artificial Intelligence

    そもそも「AI」とは「Artificial Intelligence」の略語で、皆さんご存知「人工知能」です。人の手で作られた知能、ということですね。生き物ではないわけです。知能というのは「ものごとを理解したり判断したりする頭のはたらき」を意味しているので、一種の概念ともいえます。『完全無欠のAI』ということは、『100%正しく世界を理解し、100%正しい判断を下せる知能』ということになりますね。

    そうすると、ここで問題が出てきます。『正しく世界を理解する』とは、『正しい判断』とは、何を基準とするのかということです。「正しい理解とは何か」「正しい判断とは何か」という定義も必要です。そこで、それらは以下の3つに基づいていつものと勝手に仮定します。


    ① 正確なデータ収集・処理・分析能力
    ② 課題解決能力(課題認識能力と解決策を生み出す力)
    ③ 一般に共有される道徳・倫理観

    これら3つの要素を搭載したAIであれば、世界を正しく理解し、正しい判断を下せるようになるのではないでしょうか。そして人間たちがそれに基づいて行動するようになれば、果たして誰もが幸せな人生を享受できるようになるでしょうか。

    そもそも、「完全無欠のAI」の定義として、この要素だけで十分なのでしょうか?