ある日、当校の生徒さんと英語の勉強をしているとき、smartという英単語についての話になりました。私が「日本語で『スマート』というと、身体がシュッとしてるという意味で使われてるけど、英語のsmartには本来そういった意味はないよー」と話すと、「えぇ!?そうなんですか?でも学校の先生はその意味でも使えるって言っていたような…」と言われました。

    その学校の先生が勉強不足だったのか、もしくはその生徒さんの聞き間違いだったのか、それはともかくとして、この認識はかなり一般化されている気がします。テレビなどで出演者が『スマート』という言葉を「スリム」という意味で使ったとしても、そこで現場が変な空気になったり、ツッコミが入るなどということはありません。もはやそれで意味が通っているこの日本では、smartの本来の意味を知っていたとしても、「日本ではそういう意味でも使えるからいいよね」と受け流されているのではないかと思います。

    実際、「このモデルさん、とてもスマートな体型で憧れるなぁ!」と言っている人に対して、smartの意味を知っている人が目くじらを立てて「え?スマートって体型に対して使う言葉じゃないよ。頭が良いとかそういう意味だよ。その使い方間違ってるよ。」とわざわざ話の腰を折ってまで言うのは野暮な感じがします。ただ、スマートという言葉を体型に対して使うことに何の違和感も無いという状態に至った、それまでのその人の英語学習については、見直す必要があるのではないかと思います。

    日本という国の中で、日本語で暮らし、それで事足りている私たち日本人は、その環境下でいかにして英語を習得するか、ということに苦慮しています。英語だけでなく、「言語を習得する」という勉強は、とても多面的で複雑です。単語、文法、読解、リスニング、会話のみならず、その言語の母国における社会的なニュアンス(政治、文化、価値観、マナー、歴史的背景など)も同時に学んで行く必要があります。

    実は上記の要素を全部いっぺんに学ぶ方法があります。それが「単語学習」です。単語の勉強を、ただの「暗記作業」と思っている方が多いと思いますが、それは違います。「単語学習」はその他の要素と組み合わせながら学習ができるので、より豊かな語学学習を可能にします。

    単語はその品詞や関連する熟語、用法を知ることで英文法を学べます。そしてそれがどのような例文、文脈で用いられるかを調べれば、読解の勉強にもなりますし、その単語に込められた社会的なニュアンスも同時に学ぶことができます。単語を調べるのには、英語の場合、英和辞典だけでなく、ロングマンなどの英英辞典で、『和訳』として学ぶのではなく『言葉の意味、ニュアンスそのものの解説』が載っているものを活用するのも良いでしょう。「そういう感覚で使われる言葉なんだ!」という発見があって面白いので、私もよく英英辞典を使っています。また、単語はネイティブスピーカーの発音を聞いたり、自分でも発話することで、リスニングとスピーキングの練習にもなります。さらには、オンライン上において、類義語とされる英単語の意味、ニュアンス、用法の違いを解説するサイトが充実しており、それを活用すれば、さらに単語への理解が深まります。

    こうした「単語学習」は、いきなり長文読解に挑戦するよりもハードルが下がるので、継続しやすく、また上記のような工夫で異文化をより深く学べることから、テスト勉強や受験勉強の枠を超えた、豊かな学びにもなりえます。英語をより有意義に、高い精度をもって、且つ気楽に楽しく学べるこの「単語学習」はとてもおすすめの学び方です。