最近また新たにハマって聞いているPodcastの番組があります。『ノウカノタネ』という番組で、農業従事者である「ツルちゃん」「コッティ」「テツ兄」の3人が、ゆるゆると農業に関する雑談をやるというものです。3人ともゆったり、のほほんとした様子で話をしてはいますが、内容はかなり尖ったもののときもあり、最近聞いたものだと、『うんことエロスの穢れ』という回は、とても考えさせられる内容でした。

    農家と言えば、最近「種苗法改正」が話題になっていましたね。種苗法とは、平たく言うと、「種を開発している人の知的財産権を守る法律」のことです。これまでは品種登録された種は、その一部を除いて、農家さんによる自家増殖が原則許されていました。ところが改正案が通ると、農家さんが自家増殖するには開発者の許可が必要となり、基本的には自家増殖で種をとってはいけないとするルールに変わります。

    「ただでさえ農家は苦しい立場なのに、こんな法案通っちゃったら農家さんがさらに苦しくなっちゃうじゃないか!」とTwitterでは「#種苗法改正に抗議します」というハッシュタグがついたツイートが拡散されました。女優の柴咲コウさんも、その声をあげた方々の1人でしたが、改正賛成派などのバッシングに遭い、ついにはそのツイートを消してしまいました。

    それについて、ノウカノタネのツルちゃんは、「農家やってる人って、基本お人好しだから、種苗法改正によって農業界全体が良くなればそれで良いって思ってる人、多いんよね。あと自分たち農家の人間は、種苗開発者の人たちのことをとても尊敬してる。」と言った後で、「でもだからって反対派を叩く理由はなに1つないけどね」とも話していたことが印象的でした。

    実際、新しい種苗を開発することには多大なコストがかかるそうです。もし種苗開発者の権利が守られなければ、開発者はそのリスクに見合った見返りが得られず、種苗開発から撤退することになります。そうすれば、国内の種苗の多様性が守られず、ただでさえ低い日本の食料自給率がさらに追い打ちをかけて低くなるという事態になりかねません。農業界全体のことを考えてみると、種苗法改正は実は理に適っているように私にも思えます。ただ、農家経営者からすると、コストが増えるだけで、個人や会社にとっての良いことは1つもありません。

    それでも、農家の人々が本当に「全体が良くなるんだったら、ちょっとの痛みは引き受けるよ」というスタンスなのだとしたら、それは思わず両手を合わせたくなるほど有り難いことだと思うと同時に、私自身もいち社会人として、そういった心持ちを持っていたいなと思いました。